TOYAのこだわり

ロートアイアンの歴史2017/ 7/ 18

鉄の発見とめまぐるしいヨーロッパでの発展

鉄は紀元前3500年ごろにエジプトで発見されたとされています。その後中東への侵略を機にイタリアへと鉄の技術が持ち込まれ、剣や盾などの武器として使用されヨーロッパ中へと広がりました。

12世紀 日常品としての利用へ

12世紀のルネッサンス以後になると、鉄は日常品として利用されるようになります。ドイツやイタリアでは、その耐久性を活かし、木のドアや金庫の保護や窓枠として利用していました。これらが現在のロートアイアンの始まりといえるでしょう。

13~15世紀 装飾としての利用へ

この頃になるとゴシック建築が登場し、芸術作品としての教会が建築されるようになり、ロートアイアンも各地の教会でさかんに取り入れられました。イタリアやドイツでは4つの花弁からなる花弁模様が施されたロートアイアンのフェンスが多く採用され、技術はさらに磨かれていきました。現存する建造物ではフローレンスのサンタ・クロスやイタリアのオルヴィエート・カテドラルが挙げられます。
15世紀には、鍛冶屋が教会のフェンスや門扉に施された石や木でできたデザインを、ロートアイアンで真似て作成し始めました。その代表的な建造物は、ロンドンのウェストミンスター寺院にあるヘンリー5世の礼拝堂の門扉です。この門扉には複雑な幾何学模様が施されており、石や木のカーブをロートアイアンで表現した大作です。こうして、何かを保護する目的としてだけ用いられていたロートアイアンが、装飾や芸術として人々を魅了するようになっていったのです。

16~17世紀 より芸術的なデザインへ

この頃のスペインの建造物は巨大な門扉が特徴的であり、その門扉には金塗・銀塗・カラーリングが施されたロートアイアンを採用することがポピュラーになっていました。鉄より柔らかい金属を扱うことが難しいとされていた中で、それらで塗装が出来てしまうスペインの鍛冶職人たちの技術力の高さがうかがえます。
17世紀ごろのドイツでは、ロートアイアンが錠前にも利用されるようになり、ヨーロッパ中へと輸出されました。また、この頃から政治的なテーマがデザインに取り入れられるようになっていきました。

18世紀 鋳物の登場とロートアイアンの減退

ヨーロッパ全土での産業革命後、中産階級が出現し、新しく建設される公園や急増する住宅にロートアイアン建材が大量供給されました。その当時の建物がイギリスのオックスフォードやケンブリッジに数多く残されており、シンメトリーの様式が多用されています。また、それぞれで独自のモチーフが流行するようになり、同じ国内でも地域ごとで異なるモチーフが作られていきました。
18世紀の半ばごろ鋳物が登場します。建築需要が急増する中で、安価に大量に作ることの出来る鋳物の建材が注目され、ロートアイアンは勢いを失っていきました。その後1850年ごろになるとロートアイアンの良さが再認識され、建築家のサー・ジョージ・ギルバート・スコットが教会のリフォームに好んで使用しました。また、1862年にロンドンで開催された万国博覧会では、多くのロートアイアン製品が出展されました。
しかし、その後19世紀の前半には、シンプルモダンなデザインの流行に押され、華美なロートアイアン建材はあまり使用されなくなっていったのです。

19世紀後半 家具としての復活

1970年頃になると、ロートアイアンは家具として復活し再び注目されるようになりました。その後、徐々に建築などにも再び採用されるようになっていきました。その頃の建築として有名なものにはロンドンの国立ウェストミンスター銀行が挙げられます。

美しいロートアイアンが見られる代表的建造物

ここで、現存するヨーロッパの歴史的建造物の中で、ロートアイアンが見られるものを少しご紹介します。
まずはイギリス ロンドンの最大の観光名所であるバッキンガム宮殿です。

金装の装飾が施された門扉には重厚感があり何百年にもわたり宮殿を守り続けてきた威厳を感じます。

続いてこちらもヨーロッパ観光には欠かせないフランス ヴェルサイユ宮殿の門扉です。

こちらも金塗がなされており、華やかさが足されています。先ほどの重厚感のあるバッキンガム宮殿とは少し違い、豪華できらびやかな印象となっています。

ここでは有名な観光名所を挙げましたが、ヨーロッパの町並みには至る所にロートアイアンが取り入れられています。旅行などで訪れる際にはぜひご自身の目で本場のロートアイアンを楽しんでみてくださいね。

日本への伝来と発展

古くからヨーロッパで発展し、長く人々を魅了してきたロートアイアンですが、日本に伝わってきたのはおよそ130年前のことであるとされています。明治維新以後、次々とヨーロッパ文化が入ってくる中でロートアイアンも日本へと伝わり、その美しさに魅了された人々が積極的に建築へと取り入れていきました。
しかし、太平洋戦争中の軍事利用によって、原料である鉄が一般生活の中から消えていきました。その後の高度経済成長期では鉄よりも加工が安易なアルミが多く使用されるようになったため、日本ではヨーロッパほどロートアイアンがめまぐるしく発展していくということはありませんでした。
1960年代頃になると航空機や路線が拡充され、一般市民でも海外旅行を楽しめるようになりました。これにより、本場ヨーロッパのロートアイアンの美しさや重厚感を実際に見た人々の中で、「日本でも作ってみたい、使ってみたい
という流れが生まれたのです。そしてようやく「ロートアイアン」という言葉が日本でも使われるようになったのです。

TOYAがつくる本物のロートアイアン

TOYAの原点も本場ヨーロッパのロートアイアンの美しさに魅せられたことが始まりです。日本では鋳造アルミやロートアルミの製品も数多く流通しています。もちろん量産性に優れているなどメリットもありますが、やはり繊細なデザイン性や重厚感、そして何百年も残る耐久性はロートアイアンでしか実現できない味わいなのです。そしてこのようなロートアイアンの魅力は、時代を超えて人々を魅了し続けているヨーロッパの現存する歴史的建造物のロートアイアンが証明してくれています。
TOYAは少しでも多くのお客様に本物のロートアイアンを提供したい、と考えています。そのため、TOYAの職人はすべて、本場ヨーロッパの職人から知識や技術を学び、一人一人が高い技術を身に着けています。そんな職人たちが一つずつ思いを込めて手作業で作り上げるからこそ、TOYAでは繊細なデザインまで表現された世界にたった一つのロートアイアンを作ることが出来るのです。ぜひ一度TOYAのロートアイアンを覗いて見てみてください。
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